

この国の材を用いて、この国につくる家は、この国の木工を最もよく知る職人の手に委ねたい──。そう願っていた私たちは、米沢で社寺建築を手がける番匠(大工)たちに出会いました。彼らが案内してくれた文化財の古刹(こさつ)。その古刹の修復を行う番匠たちは、その技で一般住宅をも手がけます。
木の特性、社寺建築の技、施主の思い。全てを知った番匠が、場所に適った材を選り分け、手で刻みをいれます。棟梁はこう話します。「しかも手刻みなら、番匠が自分の目で、材の一本一本まで特徴を見極めながら、最もふさわしい場所に、最も適した材を、最もよい加工法でおこなえます。まさに『適材適所』ということです。」木を熟知した目で材を確かめながら行う手刻みは、合理化を求めた現在の工法では叶わない繊細で確かな加工ができるうえ、完成まで一貫した品質が彼らの誇りよって図られます。
私たちが選んだ材は、熟練された番匠の腕に活かされ、幾代生きる家となり、住む人の人生とともに「木の民」のたましいをつないでいきます。